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ヘルステックの未来を切り拓くためのアイデアの種をお届け

医療領域にも参入。「まちづくりの東急」がベンチャー支援を行う理由とは?

2017年12月5日から6日にかけて渋谷ヒカリエで行われた、世界最大規模かつ最もアクティブなグローバル・カンファレンス「Health 2.0 Asia - Japan 2017」。

本記事では、渋谷を拠点に全国のベンチャー企業を支援する東京急行電鉄の加藤由将氏を迎えたセッション「Deep Dive:渋谷におけるアクセラレーターによるオープンイノベーション」をダイジェストでお届けします。

東急電鉄は東急病院を運営するなど、ヘルスケア領域にも参入する大手企業。日本は“起業後進国”と言われるように、ベンチャーエコシステムが成熟していません。なぜ同社がベンチャー企業と協業するのか、日本の課題とともに語っていただきました。

まちづくりに取り組む東急電鉄が、“ベンチャーエコシステム”を構築する理由

東京急行電鉄株式会社 都市創造本部 加藤由将氏
東京急行電鉄株式会社 都市創造本部 加藤由将氏

加藤由将(以下、加藤):東急電鉄の加藤と申します。弊社は鉄道事業のイメージが強いかもしれませんが、まちづくりをしている会社です。百貨店事業や電力事業、セキュリティ事業など生活の基盤となる事業を行っています。

ヘルスケア分野にも参入していて、大岡山駅直結の総合病院「東急病院」を手がけているのも弊社です。また、デイケア施設なども運営しています。

このように多くの事業を手がける中で、本日お話しさせていただくのが「東急アクセラレートプログラム」についてです。ベンチャー企業とオープンイノベーション(企業や大学、地方自治体などが協業し、新たなビジネスモデルを創出すること)を行い、人に依存した労働集約型ビジネスから脱却しようと試みています。

加藤氏ーオープンイノベーションについて語る
東急電鉄は病院やデイケア施設などヘルスケア分野にも参入している

加藤:世界を見渡すと、イノベーションが生まれる拠点がいくつもあります。具体例をあげると、シリコンバレーやテルアビブ、バンガロールなど。しかし現在、日本にそうした都市はありません。創業間もないベンチャー企業への、リスクマネーの供給が著しく低いことが原因です。「ベンチャーエコシステム」が成熟していません。

そうした背景から、全国にあるスタートアップのコミュニティと、日本を代表するインキュベーション施設が集積する渋谷をつないでいきたいと考えています。渋谷を再開発し、スタートアップの成長をアクセラレート(加速支援)していきたいのです。

東急の強みを軸に、全国をつなぐ。渋谷を拠点に多様な支援を

加藤:「アクセラレーションプログラム」について、具体的にご説明します。弊社は多事業でBtoCのタッチポイントを持っているので、その特性を活かし、スタートアップと手を組みながら事業を創出しています。

その手段は、コンテストです。審査を通過したスタートアップと事業を開発し、テストマーケティングを行います。設定したKPIを達成できれば、業務提携を行い、出資を行う流れです。

これまでの全3回は、年に1回募集期間を設定していました。協業が決定した企業に対しては、エンドレスで機会を提供していきます。

イメージがつきやすいように幾つか事例を挙げると、2015年の最優秀賞企業ABEJAは、渋谷QFRONTのカメラで渋谷を歩く人々を画像解析するサービスをリリースしました。何時何分に何歳の男女が歩いているかをデータ化する実証実験を行なっています。スクランブル交差点の市場価値を可視化しているんです。

加藤氏ーアクセレーションプログラムの詳細説明
審査を通過したスタートアップと業務提携し、東急グループの強みを活かした支援を提供

加藤:また、同じく2015年にエントリーしたアクアビットスパイラルズとは、NFC(極めて近い距離に近づけた時だけ、無線で通信する仕組み)を用いた実証実験を行ないました。東急ストアの店頭にNFC端末を設置し、NHKのレシピサイトと連携したプル型の情報配信を行い、端末にスマートフォンをかざせば、検索することなくレシピを見ることができます。

直近では、訪日外国人と国際交流したい大学生がガイドとなるマッチングサービス「TOMODACHI GUIDE」が大きな話題を呼びました。観光客があまり訪れていないエリアにガイドする試みを行なったところ、トリップアドバイザーでランキング圏外に位置していた松陰神社が8位まで順位を上げたんです。同サービスは、『ガイアの夜明け』でも放送されています。

ヘルスケア領域では、コンテストの受賞歴があるわけではありませんが、日本人の睡眠の質を向上させるO:の認知拡大に向けた支援を行っているところです。

東急グループの様々な顧客接点と自社オペレーションを使った用途開発と社会実装支援が、我々のアクセラレーションの強みです。店舗を出店する資本や人手が足りないというニーズには、「渋谷109」で代理販売をする仕組みなども提供しています。今はスタートアップのみを対象としていますが、今後は海外企業や大企業も対象としたプログラムに拡大して行く予定です。

スタートアップの方だけではなく、大企業の新規事業開発担当者の方々のご連絡もお待ちしております。

※東急アクセラレートプログラムの詳細についてはこちら

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