FUTURE

ヘルステックの未来を切り拓くためのアイデアの種をお届け

次世代のキーワード「分散化」「デジタル化」ーー医療は“ホームケア”へシフトする

2017年12月5日から6日にかけて渋谷ヒカリエで行われた、世界最大規模かつ最もアクティブなグローバル・カンファレンス「Health 2.0 Asia - Japan 2017」。

本記事では、大日本住友製薬株式会社によって開催されたセッション「Deep Dive:Re-imagining the future of healthcare」をダイジェスト形式でお届けします。

登壇したGeorgia Mitsi氏は、過去にテクノロジー企業と提携し、新時代のヘルスケアビジネスを創出した経験から、医療業界に求められる変化を語った。ソクラテスの言葉“The secret of change is to focus all your energy, not on fighting for the old, but on building the new.”を引用し、次世代の医療像を描く。映画『ベイマックス』を観たことに端を発する、彼女が持つ未来の医療構想を紐解いた。
 ■目次


テクノロジーが指先にパワーを与えた。しかし医療は、革新を遂げていない

Sunovion Pharmaceuticals Inc. Search Evaluation & Digital Health Care Initiatives Senior Director Georgia Mitsi氏
Sunovion Pharmaceuticals Inc. Search Evaluation & Digital Health Care Initiatives Senior Director Georgia Mitsi氏

Georgia Mitsi(以下、Georgia):Georgia Mitsiと申します。私は、大日本住友製薬株式会社の100%子会社であるサノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(サノビオン社)でSenior Directorを務めています。本日は、「みなさんは医療に満足していますか?」というお話をさせていただきます。私の発言は、必ずしも組織を代表するものではありませんので、ご了承ください。

この10年間で、私たちの生活は大変便利になりました。ほしいものは何でもAmazonで購入でき、疑問はGoogleで解決することができます。イー・トレードで富を築くことも可能ですし、Twitterで最新のニュースをチェックすることもできる。私たちは、指先にパワーを持っているのです。

しかしテクノロジーでヘルスケアが便利になっているのかといえば、そうではありません。アメリカでは、医療費に年間3兆4千億ドルが捻出されています。その多額の支出でもたらされるものの中には、1,200万件の重篤な誤診断が含まれているのです。

私は、こうした状況を変えたいと思い、6年前にスタートアップを立ち上げました。きっかけは息子と一緒に、みなさんもご存知の映画『ベイマックス』を観たことです。「この小さなロボットを家に置きたい」と感じました。私が自分自身にしているケアが、本当に十分なものかを尋ねてくれるロボットがほしかったのです。
  

製薬会社のトップランナーが提唱する、医療をリデザインする必要性

Search Evaluation & 世界の消費者中心へのヘルステックの動きについて語るGeorgia氏

Georgia:そして現在、医療の形は変化しつつあります。ケーキや本がドローンで配達されているように、血液やワクチン、医療物資なども同じように配達されています。これは、サイエンスフィクションではありません。

東京に来て新聞を読んでいると、たまたま、医療品を届けるサービスを展開するサンフランシスコ発のZipline社についての記述を見つけました。初めに4つの病院と提携し、現在は45もの病院と提携しています。

他にも、医療を見直す動きはたくさんあります。GoogleのAIは、高い精度で乳がんの検出を行いますし、Appleはパーキンソン病を診断するモバイルアプリケーションを開発しています。ウェアラブル市場が伸びており、2020年までに市場規模が189億ドルに達するといわれているのです。

これまでは、プロバイダー(医療提供者)の中心の医療でしたが、消費者(患者)中心の医療へとシフトが始まっています。自宅でケアが可能な“デジタルホスピタル”の考え方が導入されているのです。

ホームケアの重要性について語るGeorgia氏

Georgia:医療はますます、コミュニティケア、ホームケアへとシフトしていかなかればなりません。革新的な考えを持たないことには、劇的な変化は望めないでしょう。世の中に自動車が生まれた背景には、かつての主たる移動手段は馬でしたが、「もっと早い馬がほしい」と願ったことが挙げられます。オープンマインドになり、既存のヘルスケアを塗り変えるようなアイディアを考え、医療をリデザインする必要があります。

私たちサノビオン社は過去1年間で、従業員の健康状態測定、パーキンソン病に関するモバイルアプリの制作など、さまざまな施策を打ち出してきました。そのどれもが、パートナーの存在があってのことです。つまり、デジタル領域で成功するためには、やはりパートナーとの提携が不可欠なのです。
  

デジタル化、分散化。医療の革新には、“新しさ”へのコミットが不可欠

Georgia:デバイスを用いたホームケアの医療へとシフトするにあたり、まずは、技術の複雑性を理解することが重要です。また、世の中には多様なデバイスが存在します。何を選択するかも重要になるでしょう。

患者中心の医療を実現するにあたり、技術が溢れかえることは、望ましくありません。患者は技術に圧倒されてしまい、医療の満足度が低下するからです。技術をオンボーディングすることを忘れてはいけません。

ホームケアと先端技術の関係について語るGeorgia氏

Georgia:ヘルスケアのビジネスモデルには、アカウンタブル・ケア・オーガニゼーション(医師や病院がネットワーク・グループを形成し、そのグループに対して保険者が事前に年間分の費用を包括で支払い、もし費用が余ったら当該グループと保険者で分け合う仕組み)が新たに台頭しています。また、デジタル化が進み、中央から分散化していきます。つまり、従来の医療機関中心の医療モデルは、ケアデリバリーのモデルに取って代わります。

今後は企業同士、企業と医師のコラボレーションが重要です。相互に連携しあうイノベーションが必要になります。ソクラテスが言ったように、“The secret of change is to focus all your energy, not on fighting for the old, but on building the new.”ーー変化を起こす秘訣は、古きものと戦うことではなく、新しきものを築くことに自分のエネルギーを集中させることーーなのです。
  
  


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