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【U-25の健康論】若者は「健康」というキーワードに反応しない

 ■目次

 
       
みなさん初めまして、ライターのオバラ ミツフミです。

いきなりですが、昨今の「健康ブーム」に一言物申させてください。

「健康経営」、「健康投資」といった言葉を最近よく耳にします。「人生100年時代」とも言われるように、健康の重要性が増し、健康を気にかける若者が増えていることの証左であると思います。

事実、自分を含む同世代の友人(現在23歳)も、ジムに通ったり、睡眠を気にかけたり、いわゆる「健康」を気にかける人が増えてきました。ただ、同世代を代表して言わせていただくと、僕たちは「健康」になりたくて「健康」を意識しているわけではありません(少なくとも、僕と僕の友人たちはそうです)。

長生きすることを目的に人生を過ごしているというわけではないですし、病気をしないために毎日を生きているわけではない。つまり、「健康になる」ことで、何かしらのインセンティブを得たいのです。
        
        

毎日タバコ1箱・深夜にオムライスの僕が、健康に興味を持ったキッカケ

「何を言っているの?」とツッコミを食らいそうなので、ちょっと詳しく説明させてもらいますね。

少し僕の自己紹介をさせてもらうと、今年の夏に24歳になります。幼い頃から病気がちで、長時間紫外線を浴びると体調を崩してしまう持病を持っています。人よりやや体が弱いのですが、かといって通院しなければいけないほど、日常生活に支障をきたす疾患を患っているわけではなく、過剰に健康を意識したことはありません。

なんなら、1日に1箱ペースで喫煙をしていますし、遅寝遅起きのだらしない生活をしています。「最近太ったんじゃない?」と言われた直後の夕飯に、オムライスをたらふく食べる程度には健康への意識が低い。

とはいえ、最近は自分の生活習慣を見直すことも検討し始めました。きっかけは、この『HealthTech+』で記事を書き始めたことです。健康に関する知見を持つ有識者へのインタビューを重ねるうちに、「僕の生活は明らかに良くない」と気づきました。

産業医・大室正志氏
産業医・大室正志氏

特に印象的だったのは、産業医・大室正志先生へのインタビュー『「AIがおせっかいを焼くようになる」ー産業医・大室正志氏が語る“予防医療の民主化”』。大室先生の、「30年後の未来から今の僕らがやっていることをみると、かなり不健康なことをやってしまっている可能性が高い」という発言にハッとしました。

たしかに、10年前は今よりも喫煙者が多かった気がします。禁煙をしないにしろ、身体への影響が少ない製品に乗り換える喫煙者が増えています。毎日喫煙をする自分が言うのもなんですが、新幹線の中でスパスパタバコを吸っていた時代なんて、想像できないですよね。
     
     

過剰なダイエットが教えてくれた“お釣り”としての健康

ジムで運動をしている人の画像

以上のことから、「30年後の自分が見たら悲しむことは、少しずつやめてみようかな」と思うようになりました。その一つが、食習慣の改善です。30年後にだらしない体で「あの頃はまだ痩せていた」と嘆くなんて、悲しすぎる。

一念発起して、頑張って貯めていたなけなしのお金で、1ヶ月間パーソナルトレーニングジムに通いました。大室先生が「24時間隣にトレーナーがいれば、誰でも痩せられる」といった旨の発言をしていたため、一旦盲信したわけです。

糖質を絶ち、週二回のトレーニングを行った結果、1ヶ月で8Kg痩せました。それまでの生活習慣が、親が見たら泣くほどに悪いものだったので、当然と言えば当然かもしれませんが…。

そして、結局のところ、しっかりとリバウンドしました。ただ、結果は残念でしたが、この経過を通して一つ仮説が生まれたんです。

痩せるために食事を制限し、トレーニングをすると、当然体が絞れて自分に自信が持てます。また、食事を摂る時間帯にも気をつけているので、睡眠効率も良くなりました。睡眠効率が良くなると仕事も捗り、収入も若干ながら増加したのです。

「健康になるために」努力を積み重ねたつもりはありませんが、見た目が良くなる、睡眠効率が良くなる、仕事が捗るといった「目に見える結果」のために頑張っていたら、気づいた頃には健康にも寄与していたのです。健康は目的ではなく、むしろ“お釣り”の感覚。
        
          

「健康」と表現した瞬間に、若年層の興味が消える

草原でストレッチをする女性

同世代にも、「大学に遅刻しないように睡眠アプリを利用している」、「海に行くためにジムに通っている」といった人は多くいますが、「健康のために」行動を起こしている人はいません。

つまり、健康に対してアプローチするためには、「健康になろう」と声をかけるのではなく、結果的に健康になるが、健康を意識させないことが肝要なのでは…?と気づいたんです。

健康産業で若年層をターゲットにしたビジネスを起こすなら、「健康」という言葉を出してはいけないのではないか?とさえ、感じます。その瞬間に「自分には関係のないことだ」と思われてしまうからです。

とはいえ、僕たちも「健康か、健康じゃないか」でいえば、もちろん健康な方がいいに決まっています。だけど、「健康になるため」に毎日を過ごそうとは思いません。

そこで本連載では、「U-25の健康投資を促すには?」をテーマに、同世代とのディスカッションを交えて考察をしていきます。「健康になれたら最高だけど、わざわざ健康に時間を使いたくない」ワガママなU-25に刺さる“健康”設計に結論を見つけたい!

続く第2回では、同世代を交えて「健康に興味ある?今が楽しければそれでよくない?」といった本音議論をする予定です。「世代間で異なる健康へのアプローチ」について議論を深めていければと思います。

オバラ ミツフミMitsufumi Obara

1994年、秋田県出身のライター。ビジネス領域を中心とした各種メディアへの記事寄稿・ブックライティングがメイン。
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