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【U-25の健康論:座談会編】「食事は完全食」「18時以降は絶食」でも、健康は目的ではありません

U-25の健康論を考える連載【U-25の健康論】。第二回は、第一回に執筆した「若者は『健康』というキーワードに反応しない」に続き、同世代とともに若者の健康に対する意識の調査を行なっていきます。

第一回では、「僕たちは『健康』になりたくて『健康』を意識しているわけではない」という、至極個人的な意見を書かせていただきました。しかし、果たしてU-25が皆そう思っているのかは分かりません。

実のところを探るべく、ツイッターで「健康をテーマにした座談会を行いたい」と呼びかけたところ、僕が考える「若者の健康論」について一言物申したい3人のメンバーが集まってくれました。3人と筆者の座談会を通じ、U-25のリアルな健康観を多面的に炙り出していきます。
 ■目次


「体の健康より、心の健康」ーー精神的充足感を求める若者たち

ーーまずは皆さんに、「健康について興味があるか」をお伺いしていきたいと思います。


24歳男性。健康を目的に何かアクションを起こすつもりはないが、「健康になれるのであればなりたい」とは思っている。「痩せたい」と言いながら、深夜に脂っこいものを食べがち。

オバラ:「健康に興味がありますか?」と聞かれたら、「ないわけではない」。ただ、健康そのものを目的に健康を意識したいとは思いません。

過去にパーソナルジムトレーニングでダイエットに励んだことがあるのですが、睡眠効率が良くなったり、食生活が強制的に改善されることで仕事の生産性が上がったり、副次的に健康を手にすることができました。

とはいえ、失うものも多すぎる。食事を制限するので、友人と飲みに行くことが億劫になることもありました。幸せになることを目的に生きているのに、健康を意識した途端に幸せが逃げていくような気がしたんです。僕たちミレニアルズは刹那的に生きているので、「健康に長生きしよう」といった謳い文句が、1ミリも刺さりません。正直「そのマーケティング、間違ってますよ?」って感じです。

19歳女性
19歳女性。大学生になってから体重が激増し、ダイエットをしようと思いつつも、自分に甘くて何も続かない。夜遅い時間のお菓子とカップラーメンがやめられない。しかし最近は、節約とダイエットのために自炊に挑戦中。ただ、全体的に炭水化物の多いメニューになってしまうのが悩み。

佐々木希海(以下、佐々木):私もオバラさんと同感です。大学2年生なのですが、学校とアルバイトがあるので、基本的に遊ぶのは夜になる。終電ギリギリの電車に乗り、24:00に帰宅することも少なくありません。

健康のためには、食事を早い時間に摂り、なるべく早く寝るのがベストな選択肢であることは理解しています。ただし、周りにそうした生活を心がけている人はほとんどいません。となると、みんなで一斉に生活スタイルを変えない限り、友人との楽しい時間を確保することができないんです。健康を意識した途端に、失うものが多すぎるなと思います。

21歳女性
21歳女性。肌荒れ改善と体型維持のためにプロテインとビタミン剤、野菜を中心とした自炊が欠かせない。「飲み会を除き、18時以降はものを食べない」というポリシーを貫いているために、日々シェアハウスの同居人から夜中に差し出されるお菓子に困惑している。運動は好きだが筋トレは苦手。腕立て伏せが一回もできないことがコンプレックス。

檜山加奈(以下、檜山):「健康を目的にしない」のは同感ですが、“心の健康”を維持するために、生活をある程度制限しています。私は、太ると自分に自信がなくなるんです。「痩せているね」と声をかけてもらうと嬉しいですし、そうして自己肯定感が上がると、仕事のパフォーマンスも向上します。なので、そのためにある程度ストイックな生活を心がけています。

ーー“心の健康”を維持しようと思ったきっかけはありますか?

檜山:以前、美容やファッション情報に特化したキュレーションメディアのコンテンツ制作のアルバイトをしていました。その部署で働いている人は皆さんとても綺麗で、自分に自信がなくなってしまったんです。

そこで、塗ったこともなかったファンデーションをするようになり、化粧に気を使うようになりました。すると自分が少しづつ綺麗になることで、自信がついていく感覚があったんです。

私は身長が175cmあり、首もすごく長い。周囲から目立つ特徴が昔からコンプレックスだったのですが、綺麗になる過程を通して、そのコンプレックスを自分の魅力だと認められるようになりました。

そうした“心の健康”は、今とても大事にしています。

佐々木:“心の健康”のために、具体的にどのようなことをしているんですか?

檜山:朝は必ずラジオ体操をしますし、朝から夜まで、あまり糖質を摂らないようにしています。飲み会に誘われても、糖質の少ないハイボールを飲みますね。もちろん、揚げ物は食べません。

21歳女性

オバラ:僕は、揚げ物を食べるために居酒屋に行きますけどね。

檜山:たしかに揚げ物は美味しいですけど(笑)、翌日の罪悪感が半端ないんです。体型維持によって“心の健康”が維持できる喜びのほうが大きいので、絶対に食べません。

また、食事の管理をするために、ダイエットアプリ「あすけんダイエット」を利用しています。ただ正直、食事を入力するのは面倒なので、毎日体重を測ってログを残すようにしています。

食事は完全食、睡眠は完全ハック。健康に投資する若者の心理

ーー続いて、K君お願いします。

25歳男性
25歳男性。健康について強い関心を持っている。できるだけ健康かつ効率的な生活を送りたいと思っている。タバコは吸わない、お酒は嗜む程度、基本的に完全食COMPを飲んで生活している。

K:僕はとにかく健康に惜しみなく投資しています。時間をひたすら効率的に使い、自分の能力を高めていきたいと思っているので、その土台として健康を維持することが必須なんです。

学生時代にそう考えたきっかけがあります。ボードゲームをしているときに、「これって人生の縮図だな」と思ったんです。ボードゲームでは時間(ターン)を効率的に使って、自分の能力・資産を蓄え、上手に使うことでいい結果を得られる。人生にも同じことが言えるのではないかと。そして、時間を効率的に使うためにはまず健康でなければならない。

効率やパフォーマンスの最大化を追求すると、最終的には健康に行きつく。そういうわけで、健康を意識するようになったんです。

オバラ:ちなみに、具体的にどのようなことを?

K:高校3年生のときに睡眠に興味を持ち、以来ずっと睡眠の質を高めようと試みています。今は「Sleep Meister」というアプリで、レム睡眠中にアラームを鳴らすなどしていますね。

また睡眠効率を高めるために、寝る前はなるべく湯船に浸かるようにしています。起床したときには陽の光を浴びて体内時計をリセットし、15~16時間後に眠くなるようにするといった工夫も怠りません。

他にも、睡眠の効率化には投資をしています。電気をつけっぱなしで寝ると睡眠効率が下がるので、スマートスピーカーと連携して声をかけるだけで電気が消える「Nature Remo」を購入しました。あとは…。

オバラ:やりすぎでしょ。

25歳男性
K氏の徹底した“健康ハック”ぶりに、やや引き気味のオバラ。

K:睡眠以外にも、健康に対する投資は惜しみません。たとえば、食事。基本的に、朝昼晩すべて完全食「COMP」で済ませています。「本当に大丈夫?」と心配されることもありますが、飲むだけで健康を維持するのに必要な栄養素を確保できますし、かつ自炊にかかる時間や労力もカットできる。これ以上ない便利な品だと思いますけどね。

オバラ:友達との飲み会や、彼女との食事はどうするんですか?

K:誘われたらいきますよ。その際は、普通に食事もします。ただ、そうした例外を除き、基本的に「COMP」です。

「美容のため、生産性のため」やはり健康は“お釣り”なのか?

オバラ:極端だとは思いますが、Kさんが健康を追求したくなる理由は理解できます。人生のWHYを達成するためのHOWが健康になっているので。かつ、その行為にストレスは感じていませんよね。

一方で檜山さんは、日々「ストレスとの戦い」をされているように感じます。飲み会に誘われたら行くけど、みんなが美味しそうに、にんにくダレ香るジューシーな唐揚げを食べる光景をただただ眺めていないといけない。そんな人生、辛すぎませんか。

K:檜山さんは、僕よりはるかにストイックだと思います。僕は健康をハックしていくこと自体に幸せを感じているので、苦痛を感じることはありません。

自分で決めたルールを破ってしまったときに感じる、ストレスや罪悪感と戦うのは辛くないですか?

21歳女性

檜山:決まりを破るストレスよりも、自分が太っていることに対するストレスの方が大きいんです。健康的な生活にも随分慣れてきたので、もう炭水化物を見るだけで「うっ」と気持ち悪くなってしまうくらい。

オバラ:元々は、健康的な生活とは程遠かった…?

檜山:そうですね。今より7キロも太っており、家系ラーメン屋さんでアルバイトをしていたため、深夜に賄いのラーメンを食べるのが日常でした。「固め、濃いめ」です(笑)。今では信じられません。

オバラ:なるほど。お二人の気持ちも分からなくはないです。ただ、Kさんとはそもそも価値観が違うし、檜山さんのようにストイックにもなれない。

以前、『シリコンバレー式 自分を変える最強の食事』を書店で立ち読みしたのですが、あまりにも極端なんですよね。朝にバターコーヒーを毎日飲むほどお金に余裕もないですし、バターとアボカドとサーモンでランチを作る時間もない。

健康になるために、また生産性を高めるために生活ハックする姿勢は素晴らしいと思いますが、それによって失うものが大きすぎると思うんです。健康な状態や、生産性が高まった状態に憧れはありますが、それを目指す過程に、あまりにもストレスを感じてしまいます。

佐々木:同感ですね。美味しいご飯食べることが1番の幸せだと思っているので、食事を制限することによって人生が豊かになるイメージがつきません。

オバラ:お話を聞き、僕の意見「若者は『健康』というキーワードに反応しない」は一概にそうとは言えない側面もあると思いました。しかし、「健康は目的ではなく、むしろ“お釣り”」という考えは、あながち間違いではないと感じます。

健康に対してストイックなKさんも、檜山さんも、健康になることを目的にしているわけではありません。若者は健康を目的ではなく、手段として活用しているのではないでしょうか。


次回、連載の第三回では、座談会によって導かれた若者の健康観をより深めていきます。健康へのスタンスは千差万別あれど、「健康になることが目的ではない」という意見は一致。若者に刺さる理想のサービスについて、話し合います。

第1回はこちら:
【U-25の健康論】若者は「健康」というキーワードに反応しない
第3回はこちら:
【U-25の健康論:座談会編】「健康になりましょう」は的外れ。若者に刺さる健康投資へのキーワードとは?

オバラミツフミMitsufumi Obara

1994年、秋田県出身のライター。ビジネス領域を中心とした各種メディアへの記事寄稿・ブックライティングがメイン。