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【U-25の健康論:座談会編】「健康になりましょう」は的外れ。若者に刺さる健康投資へのキーワードとは?

U-25の健康論を考える連載【U-25の健康論】。第三回は、第二回「【U-25の健康論:座談会編】「食事は完全食」「18時以降は絶食」でも、健康は目的ではありません」の座談会後編として、若者の健康に対する意識をより深く探っていきます。

「健康になれたら最高だけど、わざわざ健康に時間を使いたくない」ワガママなU-25世代は、どのようなサービスを求めているのでしょうか?「U-25の健康投資を促す」理想的なサービスの形についてディスカッションしました。
 ■目次


「健康経営」も“お釣り”にすぎない

ーー前半のディスカッションでは、オバラさんから「健康は目的ではなく、むしろ“お釣り”」という意見がありました。皆さんにも同じ感覚があるのかお伺いしていきたいと思います。「健康になることを目的にしてはいない」とは思いつつ、健康になれたら嬉しいわけですよね?

佐々木希海さん

佐々木希海(以下、佐々木):そうですね。自分で生活を律するだけのメンタルはありませんが、誰か周囲の人が律してくれたら嬉しいとは感じます。たとえば、健康経営を心がけている企業は、なんとなく興味がありますね。

オバラ:でも、「ないよりはあったほうが」くらいの感覚ですよね?福利厚生でジム費がタダになるのは嬉しいけど、それって“お釣り”じゃないですか。健康経営をしている企業から順に就職先を検討することはないですね。

佐々木:そうですね。就職を決める理由にはならないので、あくまでも目的は別にあります。

K:僕は魅力的だと思います。今働いている会社は健康経営を意識しているので、助かっていますね。ただ、今以上に力を入れてほしいとも思っています。昼寝時間を導入したり、カフェスペースのBGMをストレス軽減に寄与するものにしたり。フィジカルとメンタルに効く施策を導入してほしいです。

檜山加奈(以下、檜山):Kさんの言う通りだと思います。体が整うことで仕事のパフォーマンスも上がると思うので、健康経営を意識する企業が増えたらいいなと思います。生活が不規則になりそうな業界を就職先として検討している学生であれば、「健康経営を推進している企業に入りたい」という人もいるはずです。

「健康になりましょう!」に意味はない。若者が求めているのは、健康になる行動計画

ーー昨今、「超高齢社会」に関するニュースも増え、予防が大事だという認識も広がりつつあるように感じます。そうした話題を受け、皆さんは危機感を持ちますか?

オバラ

オバラ:危機感はあります。死ぬことよりも怖いことはないです。ただ、病気にならないことを目的に生きることには虚しさを感じるんです。「なぜ生きるか」というビジョンの達成のために健康を意識することはあるかもしれませんが、病気にならないために生活を振り切ろうとは思わないです。ただこれは、自分が健康を害していないから言えることなのかもしれません。

佐々木:私も同様に、健康を目的にして、健康を意識しようと思ったことはないです。

K:おっしゃることは理解できますが、完全にトレードオフではないと思います。健康でありながら、自分が喜びと感じることをすることだってできるはずです。したがって、「やりたいことのためなら病気になっても構わない」という考えにならなくてもいいのかな、と。

また、私たちが健康を意識するためには、もっとその意義を届ける工夫が必要だと思っています。「病気の予防が大事です」といった声もよく耳にしますが、具体的に何をすれば良いか分からないのが現状です。

Kさん

健康の重要性をしっかり指摘した上で、若者が実践すべき行動計画を発表するなど、届ける努力をしっかりすべき。そうすれば、健康を意識したいと思う若者が増えるのではないでしょうか。

佐々木:たしかに、行動計画があれば生活が変わるかもしれないです。私は去年から一人暮らしをしていて、実家にいた頃の生活がいかに健康的であったかを痛感しています。

毎日同じ時間に起きることや、毎回健康バランスに優れた食事を摂ることは、想像以上に大変です。「せめてこのくらいの生活をしましょう。そうすれば、大病を防げます」といった指針を示してもらえたら嬉しいです。

健康文脈からのアプローチでは、健康意識が向上しない。Befor / After で若者の成長意欲を刺激せよ

オバラ:おっしゃる通りで、行動計画があると健康観が変化するかもしれません。たとえば、現在の生活習慣を入力すると「この生活を続けると、10年後に糖尿病になります。深夜のオムライスをやめるだけで、そのリスクが50%下がります」などと教えてくれるサービスがあれば、それくらいなら…と思い直すかもしれません。

3人に話しかけるオバラ

僕は、仕事に対してはストイックに向き合っています。だからこそ、食事にストレスを感じたくないのです。ただその状態を続けた結果、病気になることが明確に分かっているのであれば、「最低限の配慮はしてやるよ」くらいに考え直すかもしれないですね(笑)。

K:たしかに、大きな病気をする可能性が高い時期をアラートしてくれるサービスには興味があります。「日頃からこうした行動をしてください」と、パーソナライズした情報を提供してくれると助かりますよね。他にも、寝るだけで睡眠状態を完全に可視化し、適切な時間に起こしてくれるIoTマットレスなどがあれば、即購入すると思います。

佐々木:めんどくさくないギリギリを攻めてほしいです。健康に劇的に寄与するサービスでも、面倒だったら使いません。食事内容も全てを入力したりするのは面倒なので、写真を撮ったら自動で解析してくれるなどの機能があれば、使ってみたいです。

オバラ:危機感をいい感じに煽ってくれ、かつ面倒じゃないサービスがいいですよね。

佐々木:そうですね。あと、若い世代はそんなにお金もないので、専属トレーナーをつけるようなサービスは響かないと思います。

檜山さん

檜山:私は情報提供だけじゃなくて、成功体験まで導いてくれるサービスを見ると「良いな」って思います。ライザップのCMが良い例ですが、ちゃんと未来を想像させてくれると、使ってみたくなります。値段が高いのが難点ですが…。

オバラ:皆さんの話をまとめると、当たり前かもしれませんが、ストレスをかけずに健康管理をしてくれるサービスにはお金を払う価値があるということですよね。というのも、「楽をしたい」からではなく、健康になることが最大の目的ではないから。

「健康になりますよ」という謳い文句ではなく、「毎日こういう行動をすれば、何年後に発症するであろう糖尿病を防げます」、「睡眠をコントロールすることで、10%生産性が向上します」といったアプローチから、健康投資をさせる方が効果的であると。

全員:その通りだと思います!


座談会を終え、若者は「健康に興味がない」のではなく、健康が目標達成の手段になる場合に、「健康に興味がわく」のだと感じました。ただ、目標達成のために、健康にストイックになれる人はそう多くないはずです。

「健康になりましょう!」といったアピールでは、若者の心は動きません。一方、「引き締まった体」や「仕事ができるビジネスパーソン」などを目的に謳ったサービスなら、僕たち若者の健康投資を促せる。

体と心が健やかであること以上に素晴らしいことはないと思いつつ、その双方を同時に目指すのは難しい。この座談会では、健康を意識している人も、意識していない人も、金銭的な事情などから現実的に健康投資が難しい状態にあることが分かりました。若い世代でも利用しやすい、理想的なサービスが登場してくれたら嬉しいです。

第1回はこちら:
【U-25の健康論】若者は「健康」というキーワードに反応しない
第2回はこちら:
【U-25の健康論:座談会編】「食事は完全食」「18時以降は絶食」でも、健康は目的ではありません

オバラミツフミMitsufumi Obara

1994年、秋田県出身のライター。ビジネス領域を中心とした各種メディアへの記事寄稿・ブックライティングがメイン。